物語が始まる前、
君と見つけたものがある。
辺境の街、ランガン。のどかな風が吹く昼下がり、崖下の沿道を少年が1人慌てた様子で走ってくる。
彼の名はケイン。街の外にある遺跡で友人たちと遊んでいた際に家の鍵を落としたまま帰ってしまったのだ。
鍵をなくしたこと、おまけに危ないからと立ち入りを禁止されている遺跡へ入ったことが父に知られたら…
鍵を探すために再び街を飛び出したものの1人で遺跡をうろつくのは幾分か心細いものがあった。
どうしたものかと悩んでいたその時、足元にパラパラと砂粒が落ちてくる。
頭上を見上げると崖の上から降ってきたのはまぎれもなく人影だった。